総合商社の配当利回りが5%前後に 

( 引用: 日本経済新聞 ) 
【 撃ってでなきゃ、商社だもの - 元三井物産中部支社長 守山淳著 】

総合商社株が振るわない。収益をけん引してきた資源の価格が欧州債務問題を受けて下落基調にあり、株価も連動して下げている。一方、業績は好調で各社の配当利回りは5%前後と歴史的高水準に達し、市場では割安との見方もある。

非資源部門の収益力が株価浮上のカギを握りそうだ。

三菱商事や三井物産など、伊藤忠商事を除く大手4社は、日経平均株価と同じ6月4日に年初来安値を更新、その後も上値は重い。ただ業績は好調。

今期の予想純利益は5社合計で過去最高の1兆6400億円を見込み、3月決算企業の予想純利益ランキングでも上位に入る。

三菱商事や住友商事、丸紅は今期に最高益更新と増配を見込む。一方で予想配当利回りも5%強の伊藤忠をはじめランキング上位に顔を出す。

最高益で配当を増やす企業が配当利回りでも上位というのは珍しい。
だが、株価がなかなか回復しないのは資源価格にある。

中国経済の減速と資源メジャーの増産対応を見越した海外の機関投資家は
「鉄鉱石や原料炭は今後、下落基調が避けられない」(英企業年金のファンドマネージャー)とみているからだ。

商社は配当性向を守る傾向にあり、利益が落ちれば配当も減る可能性がある。

市場では“商社株は資源株の一角”との見方が多い。だが、経営陣は収益源を分散して資源への依存を薄めようとしている。

丸紅が米穀物大手のガビロン(ネブラスカ州)を買収するなど各社は資源より利益に安定感のある非資源部門の強化に余念がない。

住友商事は今期、純利益の8割を非資源が稼ぐ見込み。伊藤忠と丸紅も純利益の資源依存度は半分以下に収まりそう。

三井物産は今期も8割を鉄鉱石など資源に依存するなどばらつきがあるが、5社平均の資源依存度は半分程度まで下がってきた。

資源価格下落しても非資源が利益を下支えできると決算で証明できれば、高い配当利回りが魅力的な指標として評価されるかもしれない。

商社は純利益も配当利回りもトップ水準

配当利回りランキング(%)

順位社名利回り
1大日本印刷5.53%
2武田薬品工業5.38
3NKSJHD5.16
4伊藤忠商事5.01
5みずほFG4.91
6三井物産4.90
7旭硝子4.89
8第一三共4.88
9丸紅4.87
10住友商事4.81
11NTTドコモ4.80
12NTT4.73
13三菱商事4.64
14エーザイ4.58
15JX4.26

【日本株】配当を狙う投資家のためのスクリーニング方法

スクリーニング方法として、ポイントがいくつかあるようです。要点を抜粋します。

●POINT1● 益利回り 6.7%以上(PER15倍以下) →4%程度の配当を出しても問題なし!

●POINT2● PBR(株価純資産倍率) 2倍以下 →成長銘柄ではなく、“成熟銘柄”を狙え!

●POINT3● 自己資本比率 50%以上 →借入金が少なく安定配当を出せる!

●POINT4● 時価総額 100億円以上 →企業規模が大きく高評価の銘柄に絞れ!

●POINT5● 売買代金 2000万円以上 →売りたいときに売れる流動性の高さも重要!

以上です。非常にわかりやすいといえるでしょう。時価総額、売買代金あたりは東証1部上場企業に絞った銘柄選びをするべきだと示唆しています。実際、PBR2倍以下、PER15倍以下の銘柄は多数あるため、該当する銘柄は相当数に上るはずです。

自己資本比率50%以上というのは、財務面では確かに安定的な状態ですが、業種によっては50%未満でも、十分に問題ないといえる会社もあります。設備投資が多い製造業では比率が低くなりがちです。そのあたりも注意が必要です。

また業績面(P/L)でのチェックがないというのも、少し違和感があります。やはり、売上高が増加している増収基調、利益も伸びている増益基調の銘柄を選定しなければ、配当銘柄への投資には適さないということだと思います。

その他、実際に投資する際には、しばらく株価を追いかけてみることも重要です。配当以上の値動きをすることは株式投資では当然のことです。そのため、外部環境悪化時にいかに安値で拾えるか、そのような投資方法を行うべきだと思います。

冬のボーナス時期が近付いてきて、様々な運用を考えている人も多いですが、運用難の時代。無理をしない投資・運用を念頭に置きましょう。世界経済、一寸先は闇の状況です。